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『新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令』が施行

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編集長ハナ
編集長ハナ
Webメディア『Naritime』の編集長ハナです。

2020年2月1日から新しくメディアを立ち上げようと企画していたのですが、事態は思わぬ方向に…。

既に大きく報道されていますが、中国武漢市における新型コロナウイルスの感染が世界的に拡大。

日本政府は、新型コロナウイルスによる肺炎などの病気を「指定感染症」とする政令の施行を、令和2年2月1日から前倒して実施することを決定。

日本の空の玄関、成田空港にも大きな影響を与えることが予想されます。

まずは今回施行される政令について、基本的な事項をまとめてみました。

政令施行までの流れを解説

当記事では、『新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令』と紹介していますが、最初にお断りしておきますと、完全に正確な記述という訳では無いのです…。

正確には、『新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令等について』をもって、2月1日施行が決定しています。

というのも、当初は令和2年2月7日施行としていたものを前倒しした経緯があるからです。

『令和2年1月31日通知』をもって2月1日施行が決定

  1. 令和2年1月28日通知『新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令等の施行について』
  2. 令和2年1月31日通知『新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の一部を改正する政令等について』

今回の政令は、厚生労働省健康局長より、各自治体や日本医師会あてに通知されています。

1月28日通知の段階では「令和2年2月7日施行」となっていたものを、1月31日通知により「令和2年2月1日施行」に一部を改正して通知しているかたちです。

一部の改正とはすなわち、施行日の修正です。

日本は法治国家ですから、政令の施行を早めるだけでも、一つひとつ文書を適合させて行く必要があるということですね。

『令和2年1月28日通知』にて具体的な施策を通知

  1. 令和2年1月28日通知 ⇒ 政令の具体的な内容はここで通知
  2. 令和2年1月31日通知 ⇒ 施行日修正のみ

2番目の令和2年1月31日通知は「施行日の修正のみ」ですから、今回の政令の具体的な内容を確認するためには、1番目の令和2年1月28日通知を参照する必要があります。

また、正確な通知文面では、政令『等』について、となっています。

これは、令和2年1月28日通知は大きく4項目で構成されていて、

  • 新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令の制定
  • 同政令の規定に伴う読替えに関する省令の制定
  • 検疫法施行令の一部改正
  • 検疫法施行規則の一部改正

など、新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定めることを中心に置きつつ、関連法規の制定・改正も含む内容となっているためです。

指定感染症は政令で定められる感染症類型

今回の政令施行により、新型コロナウイルスによる肺炎などの病気を「指定感染症」として定めることになりました。

ところで、この指定感染症とは何なのでしょう?

指定感染症とは、国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあるために政令で定めることで迅速な対応を可能としている感染症類と言えます。

感染症法による感染症類型

感染症法の正式名称は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」です。日本国内における感染症対策として定められた法律で、総合的な危険性などから感染症が分類されています。

指定感染症もその分類の一つで、一類から三類感染症と同等の措置を講じなければ、国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあるものと規定されています。

一類から三類に分類される感染症は、かなり危険性が高いものとなります。次の表を見ると、エボラ出血熱やペスト、コレラなど恐ろしい感染症が記載されていることが分かります…。

感染症法の対象となる感染症

感染症法の対象となる感染症は、上記の表の通り法律で定められ「法定感染症」と呼ばれます。あらかじめ法律で定めることで、患者の入院対応・入院勧告や建物の消毒などの対策をスムーズに進めて、流行を予防する効果が期待されているわけです。

ところが、今回の新型コロナウイルスのように突然発生した感染症の場合にどうするのか?という問題が発生しますよね…。

法定感染症は、今回のような事態に備えて定められた類型で、国民の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがある感染症について、法律を改正することなく政令で定めることで迅速な対応を可能としているわけです。

『新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令等』の内容

令和2年2月1日より施行された、『新型コロナウイルス感染症を指定感染症として定める等の政令等』の主な内容は次の通りです。

指定期間:令和2年2月1日から令和3年1月31日までの1年間

検査手数料:4,200円

感染症法上講じることができる措置

  • 疑似症患者に対する適用(第8条第1項)
  • 医師の届出(第12条)
  • 感染症の発生の状況、動向及び原因の調査(第15条)
  • 健康診断(第17条)
  • 就業制限(第18条)
  • 入院(第19条及び第20条)
  • 移送(第21条)
  • 退院(第22条)
  • 検体の収去等(第26条の3)
  • 検体の採取等(第26条の4)
  • 感染症の病原体に汚染された場所の消毒(第27条)
  • ねずみ族、昆虫等の駆除(第28条)
  • 物件に係る措置(第29条)
  • 死体の移動制限等(第30条)
  • 質問及び調査(第35条)
  • 入院患者の医療(第37条)

※カッコ内は、感染症法の条文番号
※上記措置に附随する関係規定は省略

指定感染症に感染しているかどうかの健康診断を求める法的な根拠が生じることになりますので、検査拒否などの問題は解消されることになります。

また、新型コロナウイルス感染症の病原体の有無に関する検査の手数料は、4,200円と定められていることにも注意してください。

あまり考えたくはありませんが、高額な検査料を取る事業者などが発生してくる可能性も考えられますので…。